全国に約800店舗を運営
さまざまな形態で応えるゼビオグループ

　世界的なスポーツイベントへの関心が高まる中、プロスポーツの多様化や観戦人気、健康への意識向上などにより、スポーツを取り巻く人口は緩やかな増加傾向にあると言われる。こうした背景をスポーツ用品などの販売で後押ししているのがゼビオ株式会社だ。現在は1千坪クラスの店舗を中心とした大型スポーツ専門店「スーパースポーツゼビオ」、エキナカやエキチカを中心に展開する中小型スポーツ用品専門店「ゼビオスポーツエクスプレス」などを全国で運営している。
　同社は、関東圏に特化した都市型スポーツ専門店を展開する株式会社ヴィクトリアや中古クラブなどゴルフアイテムを扱う株式会社ゴルフパートナーとともに、ゼビオグループの中核企業として位置づけられている。ゼビオグループはその他に、アウトドア専門店の「エルブレス」やゴルフ専門店の「ヴィクトリアゴルフ」など様々な業態で全国に約800店舗を展開している。

スポーツの楽しみを知って体験
リアル店舗ならではの付加価値

　政府の方針として、2025年までにスポーツ産業の市場規模を15兆円に拡大する意向が掲げられており、スポーツを取り巻く市場規模も拡大を続けている。「スポーツをライフスタイルに取り入れる人が増えており、スポーツの楽しみ方は多様化し、拡大してきています。そのような市場の変化に対応するためには新たな顧客層を取り込む必要があると考えています」（加藤氏）
　また、他の一般消費財と同様に、スポーツ用品においてもネット販売を中心としたeコマースの台頭が急速に進んでいる。「当社もeコマースを強化し、さらに店頭と連動させることでサービスレベルの向上に取り組んでいます。一方で、スポーツ用品販売においては、リアル店舗にしか実現できない価値があると考えています」（加藤氏）
　ネット販売では実現することのできない「体験」が、リアル店舗ならではの大きな魅力だと位置づけている。「リアル店舗では来店していただくことで、購入する前に商品を体験でき、スポーツの楽しみを実際に感じ取ることができます。また、対面してご要望をお聞きすることで、より的確な商品のアドバイスを提供できます」（加藤氏）
　スポーツのビギナーからアスリートまで、あらゆるスポーツ愛好家を対象としたサポートが可能だという。「リアル店舗には必ず人がいて、その人が新たな価値を生み出すのだと思います。人を通じたサービスの提供と専門知識をもとにしたコンサルティングにより、商品購入以外にも来店価値を広げていきたいと考えています」（加藤氏）

豊富な経験でコンサルティング
スポーツの価値を伝える店舗

　全国を網羅する店舗展開を支えるのは豊富な商品知識を持ち、スポーツの価値を伝える優れた人材だ。「当社は全従業員のことをスポーツナビゲーターと呼んでおり、お客様に『楽しさ』や『感動』といったスポーツが持つ価値をナビゲートしています。商品の価値はもちろん、その使用方法を提案し、スコアアップや試合に勝つなどの感動体験までサポートしています。さらに、スポーツナビゲーターの中には約400名の全国大会出場経験者がいて、その目線からお客様一人ひとりに合わせたサービスを提案していることも我々の強みです。また、弊社には現役選手として競技活動をしているアスリートも勤務しています。彼らは競技で培った経験や知識を生かして、専門性の高い接客をすることでお客様に新たな価値を提供していています。さらに引退後も店長や本部の幹部社員として活躍の場を広げています」（加藤氏）
　スポーツへの関心が高まるなか、現在約40人いるアスリートナビゲーターを、2020年には100人以上にする方針だ。自らもスポーツ経験者の同氏は、スポーツで培ったさまざまな経験を実社会でも役立てられることを実証したいという。

店舗ファーストへの挑戦 全店舗『地域一番店』を目指して

　同社はお客様に寄り添ったスポーツの価値の提供を実現するため、店舗ファーストを掲げて店舗視点から組織の再構築を実施している。「現在、“ 逆ピラミッド構造”を行動指針として改革を実施しています。現場のスポーツナビゲーターが一番上にいて、それを支える本部があり、その下に経営陣がいるという考え方です。本部がいかに店舗をサポートするかといった意識改革を推進中です。お客様と日々接している現場のスポーツナビゲーターの声を聴き、現場で起きていることを把握し経営に生かす
ことが大切だと思っています」（加藤氏）
　同氏はスポーツの新たな価値を見出すのは現場の「人」であるという。今後もスポーツの持つ力を社会の活性化に生かし、全店舗が長く愛される地域一番店となる店舗運営を目指していく方針だ。

※「賢者の選択」より転載