- 地域や社会に貢献する事業を展開し
変革と成長を繰り返す老舗企業の姿 - 綿半ホールディングス株式会社
代表取締役社長 野原 勇
時代の変化につれて求められる企業像も大きく変容する。老舗企業が今もなお存在価値を示すためには、時代の変化を的確に捉え、常に変革と成長を繰り返すことが求められる。綿半ホールディングス株式会社も長い社歴の中で、時代に即した事業へとシフトしながら成長を図っ
てきた企業の1つだ。その歴史は古く、今年は創業から420年を迎える。
「当社は1598年(慶長3年)に、現在の長野県飯田市で綿屋として創業しました。江戸中期には飯田藩御用達商人となり、名字帯刀を許され『野原』姓を名乗るようになりました。その後、綿業の他に酒造にも商いを拡大して庄屋としての地位を確立しました。明治時代には綿業を譲り、金物業へと転換し、鉄鋼、セメント、ガラス、石油事業といった近代産業に参入しました」(野原氏)
社名に冠される「綿半」は、代々の当主が「綿屋半三郎」を襲名してきたことに由来するという。
綿半グループは、スーパーセンター事業を展開する株式会社綿半ホームエイド・株式会社綿半フレッシュマーケット・株式会社Jマートと、建設事業の綿半ソリューションズ株式会社、貿易事業を手がける綿半トレーディング株式会社で構成される。グループを束ねる持ち株会社
が綿半ホールディングス株式会社だ。
「綿半ホールディングスを中核に、5つの事業会社がそれぞれの事業分野で高い専門性を発揮しながら、3事業を連携させて取り組んでいます」(野原氏)
現在、新たな変革のひとつとして取り組んでいるのが、自然との共生を推進する企業としてGreen Lifeを主軸に、安心して暮らす(Safe Life)、暮らしを楽しむ(Enjoy Life)、元気に暮らす(PlatinumLife)の3つのLifeを追求することだ。
「スーパーセンター事業では『自然な彩りを楽しむ暮らし』、建設事業は『環境に優しい安全な暮らし』、貿易事業は『自然の恵みで元気な暮らし』を目指して事業を展開しています」(野原氏)
スーパーセンター事業では、これに加えて「変化を楽しむ暮らし」の提案をグレードアップさせ、新しい綿半ブランドの構築を目指して行く考えだ。具体的には、接客力・提案力を高め、店舗ロイヤリティを向上して地域・趣味の人が集う場へと発展させたり、グループの総合力で「自然」と「健康」をキーワードとしたホームセンターを超える新しい業態を創り出すビジョンを掲げている。
企業を成長へと導くためには、自社の売り上げを伸ばして企業規模を拡大することだけにとらわれることなく、人や地域、社会に大きく貢献しながら互いに支え合う文化を形成することが求められる。
「当社が生まれ育った長野県には、地域や自然と共存し健康に暮らす文化があります。利益を社会に還元することは、地域に根差す企業として大切な取り組みだと考えています。経済的な理由で進学困難な生徒や学生を支援する奨学金制度や、社会福祉法人を通じて老人ホーム・
デイサービスセンターの運営も行っています」(野原氏)
これらの取り組みに共通するのは「見返りを求めないこと」だという。支援を続けることで地域社会が振興し、それが巡って事業の発展にもつながっている。
同社には信頼に対して貢献を持って応えるという経営理念が企業風土として深く根付いている。
「売上を上げることが目標ではありません。お客様に喜んでいただくことを目指せば、結果として売上が上がることにも結びつくのです」(野原氏)
社会の進化のスピードがさらに早まる中で、同社は今後も積極的な変革を図っていく方針だ。その変革から生まれる大きな成長は、地域や社会にさらなる貢献をもたらすことだろう。
※「賢者の選択」より転載