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地球との調和を目指し、よりよい明日を実現。「化学の力」で未来を拓く化学品メーカー
KHネオケム株式会社
取締役社長 浅井 惠一

環境に配慮したユニークな
機能性製品で高シェアを誇る

「『化学の力』で、よりよい明日を実現する。」を企業使命として掲げ、持ち前の高い技術力で市場にユニークな化学素材を供給しているのが、KHネオケム株式会社だ。同社の化学素材は、人々の生活に欠かすことのできないあらゆる製品に使用され、陰ながら人々の暮らしを支えている。 
「当社は溶剤やアルコールなどの基礎化学品、潤滑油や化粧品の原料などの機能性材料、液晶・半導体に必要な電子材料などを作っています。これらは自動車や住宅の内装、冷蔵庫やエアコン、スマホなど広く身近な生活の中でお使いいただいています」(浅井氏)
なかでも主要な成長品目として挙げられるのが、エアコン向けの潤滑油原料だ。
「近年、世界的な環境規制の高まりを受け、環境対応型のエアコンには、オゾン層を破壊しない「代替フロン」が冷媒として使われています。エアコンの室外機の中には冷媒を加圧する圧縮機が入っていますが、円滑な動作のためには潤滑油が必要です。当社は、
この潤滑油の原料を作っています。当社の潤滑油原料は代替フロンとの相性が良く、当社の世界シェアは約50%にものぼります。さらに、地球温暖化への影響がより少ない「次世代フロン」向けの潤滑油原料としても、当社製品は効果的であることが確認されている
ため、今後も更なる成長が期待されます」(浅井氏)
また、スキンケアに使われる「フェイスマスク」には、同社の「ブチレングリコール」が使われている。
「ブチレングリコールは、保湿性に特に優れており、さまざまなスキンケア化粧品の原料として使用されています。この製品を生産しているのは、当社以外では国内と海外に各1社しかなく、当社は世界の約1/4のシェアを有しています。現在、中国や韓国ではフェイスマスクが大人気です。特に中国ではスキンケア市場が非常に伸びており、今後も好調に推移することが予想されます」(浅井氏)

社内制度や企業理念を見直し
社員のモチベーションを高める改革に着手

同社は、1949年に設立された協和発酵工業の創業時の事業を引き継ぐ企業だが、医薬・バイオをコア事業に据えた協和発酵キリングループから2011年に独立し、2012年に社名を現在のKHネオケムに変更した。商社出身の浅井氏は同グループからの独立後、2代目のリーダーとして2014年に現職に就任。以来、社内のさまざまな改革を図っている。
「私が就任した当初、協和発酵キリングループから離れた影響で、社内のモチベーションは低下傾向にあり、高い技術を持ちながらも、これを事業の成長に活かしきれていない状況でした。私は「4つのC」(Communication、Courtesy、Curiosity、Challenge)という信念を持っていますが、まずは人とのつながりを大切にしたいと考え、約600人の社員全員と「社長を囲む会」を行い、腹を割った対話を行いました。会社に対する不満や要望、個人的な悩みまで、さまざまな話を直接聞き、会社の良いところや改善点を探りながら、必要に応じて大舵を振るいました」(浅井氏)
浅井社長によって、まず企業理念が刷新された。これは、若手タスクフォースの案を全面的に採用したものとなっている。また、各部門の目標設定を厳密に行うために「事業戦略会議」を導入したり、「新規事業構築会議」を発足したりと、さまざまな改革を強力に推進している。
さらに、人材育成の面でも、積極的な人事異動を促す「チャレンジポスト」を導入したり、専門的な素養を持つリーダーを外部から招聘したりと、同社をマルチタレントの集団とするべく、さまざまな取り組みを行っている。

台湾の国営石油企業と合弁で製造拠点を設立
グローバル展開を積極的に推進

同社は右肩下がりが予想される石油化学製品の国内需要の維持を図りつつ、積極的に海外への事業展開を進めていく方針だ。
「台湾の国営石油企業等と共同出資して、可塑剤の原料を生産する工場を建設するべく動いています。現在この台湾の国営石油企業から原材料を購入しているので、台湾に製造拠点を構えることが最適と判断しました。本件は、日台間の石油化学事業では過去最大級の投資案件であり、台湾の国営企業に加えて、日本の公的金融機関である国際協力銀行にもご参画いただいているという点で、国家間プロジェクトとも言えます。このプロジェクトは、必ず成功させたいと考えています」(浅井氏)
同社は台湾におけるプロジェクトを皮切りに、将来的には、海外への技術供与・協力によってライセンスフィーやオペレーションフィーを得ながら、成長する機能性製品への事業投資を行い、さらなるグローバル展開を推し進め、業容拡大を目指していく考えだ。

※「賢者の選択」より転載

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