Tags:
技術力を誇るウォータージェットのパイオニア 業界を牽引しさまざまな産業を力強くサポート
日進機工株式会社
代表取締役 林 伸一

ウォータージェットを中心にした
プラントメンテナンスの専門医

 あらゆる産業プラントにおいて、設備の運用を安定して継続するためには、適切な管理を欠かすことはできない。メンテナンスには、修理や点検といった側面だけでなく、設備能力の維持・改善や故障診断の実施、部品交換など幅広い業務が発生する。優れたメンテナンスは、プラントの寿命や企業の生産能力を向上し、利益にも結びつくものだ。日本におけるウォータージェット事業の草分け的な存在として業界を牽引し、産業界を支え続けているのが日進機工株式会社だ。「当社は、1965年に給排水管清掃機などの装置販売会社として設立しました。当時はいざなぎ景気の時流によって各産業の現場では人手不足が深刻化し、販売だけでなく洗浄も引き受けられないかという声が高まりました。そこで、当社は産業設備のメンテナンスを核に据え、事業を展開してまいりました。当社はプラントの『ドクター』であり、プラントメンテナンスの『専門医』として、お客様や社会に貢献したいと考えています」(林氏)
 同社は水を中心とした独自の技術を生かし、さまざまな産業の成長や社会の発展に欠かすことのできない存在だ。幅広い産業のメンテナンスノウハウに精通し、総合力で期待に応えられるプロフェッショナル集団と位置づけられる。

「洗う」「はつる」「切る」など
さまざまなシーンで生かされる工法

 同社の技術力の要とも言えるのがウォータージェット工法だ。圧力を高められた水が噴出する力を使ってプラントメンテナンスを行う。その作業は大別して「洗う」「はつる」「切る」の3種類だという。「製鉄所のコークス炉では、たまったタールを定期的に取り除くことが必要です。当社では高圧力の水だけを使ってコークス炉タール洗浄を行っています。また、プラントに張り巡る配管の洗浄では、胃カメラのような仕組みで内部を確認しながら、前後方のそれぞれに噴出する水の圧力を調節しながら、汚れに適したノズルで洗浄します」(林氏)
 付着物を完全に取り除くためには熟練の技術が求められる。定期的なメンテナンスを続けることで、どれくらいの汚れがたまるか判断できるのだという。「『はつる』という言葉は耳慣れないかもしれませんが、建設業界などでコンクリートを削ったり、砕いたりすることを示します。当社では水の力を使って、はつる作業を行います。一般家庭の水道の1千倍という高圧で、水圧と水量を変化させながら噴射すると、はつりたい面積や深さをコントロールすることが可能です。内部の鉄筋を残したり、コンクリートが脆くなった部分だけを取り除くこともできます」(林氏)
 ウォータージェット工法を採用することで、作業時に粉じんが舞うことを防ぎ、作業環境や周囲への影響が少ない。また、振動が発生しにくいことで、周囲のコンクリートにヒビが入りにくく、作業者の体への負担も抑えられるなどのメリットがあるという。
 3つ目は「切る」という作業だ。水を使って切ることは、一般には想像しがたい。「ウォータージェットを使って鉄板を切ることができます。高圧でも水だけで切断するのは難しいため、宝石のガーネットが砂状になった研掃材を水と一緒に噴射し、鉄を削り取るように切断します。石油コンビナートや化学プラントの配管や、ガスタンクの解体など火気厳禁の場所でも、ウォータージェット工法ならば火花を出すことがないため、安心・安全な作業ができます」(林氏)
 このほか「削る」「剥がす」ことにも対応する。例えば、舗装された道路の白線だけを削ったり、古くなった鉄道車両の塗装を剥がす際にもウォータージェット工法が採用されている。

高い技術に大きく広がる期待 新たな需要や要望にも呼応へ

 同社の強みは、産業界の限られた分野にとどまることなく、専門企業として独自に培った技術をさまざまな産業に生かすことのできる総合力だ。積み重ねた技術力と開発力が、ウォータージェットの可能性を大きく広げている。「ウォータージェット技術が確立され、各産業に浸透することで、用途が大きく広がっています。お客様の環境やご要望はさまざまですから、シーンに合わせて先端のノズルを選択するなど、その場に合った対応でお応えしています」(林氏)
 産業や社会は大きく変化し続けている。さまざまな産業からの要望に応えるため、同社は人材育成や技術開発に取り組んでいる。「当社には産業洗浄技能士の国家資格を持つ技術者が約80人在籍しています。熟練した技術を伝え、優れた技術者に育てる社員教育を充実させています。また、施工時に取得したデータを分析して、常に改善、改良することで技術力を高めています」(林氏)
 同社では、熟練の技術者が長年の経験で得た高い技術を機械の自動化によって再現する装置の開発も進めている。「水中で構造物を切断できないか、というご相談をいただき、現在研究開発を行っています。技術的には実現が見込めるレベルまで来ていますが、水の中では噴射する水圧が下がるなどの課題があり、さらに研究を重ねているところです。当社はこうした新たな需要やご要望にもお応えしてまいります」(林氏)
 ウォータージェット業界のリーディングカンパニーに寄せられる期待は大きい。その期待に応え、新たな需要を切り拓きながら、同社のさらなる挑戦は続いていく。

※「賢者の選択」より転載

記事一覧はこちら
ページの先頭へ