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最長7年の自動車保険や選択型火災保険
多様化するニーズに応える損害保険会社
朝日火災海上保険株式会社
取締役社長 添田 智則

自動車保険と火災保険に特化
経営資源の集中で高い専門性

野村ホールディングスの損害保険子会社として自動車保険や火災保険を手がけているのが朝日火災海上保険株式会社だ。
「損害保険会社はさまざまなリスクを補償する保険商品を提供していますが、当社はシンプルにクルマによる事故を補償する自動車保険と建物や家財を補償対象とした火災保険に経営資源を集中しています。大手損害保険会社と同様の幅広い領域ではなく、取り扱い分野を絞って専門性を発揮しようという考えです」(添田氏)
同社は「お客様が心から満足し感動するサービスを提供すること」と「社員の人材育成に努めること」を経営理念に、独自の保険商品を開発。保険の自由化が定着した現在も、横並び感の強い国内損保会社でありながら、斬新な保険商品を市場に投入している。

ユーザー視点で最長7年契約
「使える自動車保険」が誕生

同社が主軸のひとつとして捉えているのが自動車保険だ。一般的には1年契約で更新するケースが多く見られる。
「1年契約の場合、事故を起こして保険金を請求すると、翌年の保険料が大幅に上がってしまいます。そのため、お客様の中には翌年に保険料が上がるのを避けるため、比較的軽微な物損事故などは保険を使わずに自己負担で修理する方もいらっしゃいます」(添田氏)
事故を起こしたときの備えとして契約したはずの保険でありながら、翌年以降の等級や保険料が気にかかり、万一の際に使うことを控えたくなるのがユーザーの心理だ。
「しかし、それでは損害保険として本来の機能を果たせていないのではないかと考えました。保険会社は会社が売りたい保険商品を販売するのではなく、お客様の視点に立って商品を開発し、ご満足いただける保険を提供しなければなりません」(添田氏)
同社はユーザーの求める「使える自動車保険」とは何かを探った。その結果、2016年4月に誕生したのが最長7年までの長期契約自動車保険『ASAP6』だ。
「長期契約であれば、事故を起こして保険金を請求しても、契約期間中は保険料が変わりません。また、毎年更新する契約より、お支払いいただく保険料の総額が安くなるというメリットもあります。保険料は一括払いのほか、年払い、月払いも選択いただけます」(添田氏)
同商品は発売後わずか4カ月で新規契約件数が約3倍になるほどの大きな反響が得られているという。
また、火災保険の分野では、一般的なパッケージ型ではなく、選択型の保険商品を投入した。
「損害保険会社はあらゆる補償を組み込んだパッケージ型の火災保険を主に提供してきました。しかし、お客様によっては欲しい補償内容と差違が生じるケースもあります。例えば、マンションの高層階にお住まいのお客様は、水害による補償を必要としていない場合があるにも関わらず、パッケージ型の保険商品ですと通常は水害による補償も組み込まれているのです。当社はそれぞれのお客様が本当に必要としている補償を選択できる火災保険を作りました」(添田氏)
パッケージ型の火災保険には、契約時に予測が難しい災害の場合も補償されるという利点もあるが、選択型には不要な補償に対して支払う保険料を節約できるという大きなメリットがある。

新しいニーズと販売チャネルに対応
優れた人材の育成に取り組む

同社が生み出した斬新な保険商品は、発売以降インターネット上の口コミサイトや比較サイトなどで常に上位にランクインしている。
「保険に対するお客様の意識は大きく変化しています。保険会社や代理店の担当者がおすすめする保険を契約するのではなく、お客様自身がインターネットなどで情報を得て、ライフスタイルに応じて自らの意思で自分に合った保険を選ぶという行動が鮮明に表れてきました。また複数の保険会社の商品から選択できる来店型の保険代理店も増えています。お客様がご自身の意思で来店型の代理店に予約を取り、時間を割いて出掛けてまで、自分に合った保険商品を検討されるのです。こうした意識の高いお客様に選ばれる、魅力のある保険を作るのが当社の使命です」(添田氏)
その魅力をアピールし、他社との差別化を明確にするためには、同社の営業担当者の力量が問われる。
「他社の商品も熟知した上で違いを説明したり、お客様それぞれのニーズを的確に把握して商品を提案しなければなりません。そのためには社員教育が大切です。当社では社内に『朝日インシュアランスカレッジ』を作り、社員の知識向上を図っています。その上で、当社の強みを生かせる独自の戦略を社員に意識させることにより能力アップにつなげています。また、次世代のリーダーを育成する『トップガン研修』もスタートさせました。損害保険だけでなく金融全般の知識や人間力を高めることを目指しています」(添田氏)
優れた人材と独創的な保険商品によって、同社は自動車保険、火災保険の領域でトップを目指して躍進を続けていく。

※「賢者の選択」より転載

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