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パチンコを日常の娯楽に回帰する変革推進 地域社会に根差した「インフラ」を目指す
株式会社ダイナム
取締役会長 佐藤 公平

400店を超える店舗展開を達成
パチンコを「必要な存在」に

 かつては大衆娯楽の代表として挙げられていたパチンコだが、その市場規模は縮小傾向が伺える。ピーク時には約3,000万人と言われていたパチンコユーザーの人口は、現在約1,000万人程度まで減少。一方で年間平均費用はここ数年上昇を続けており、高額化や高射幸性はさらなるユーザーの減少や社会問題のひとつにもなっている。減少傾向にありながらも、往年のファンを中心に健全なレジャーとしてパチンコを楽しんでいるユーザーが数多く存在するのも現実と言えるだろう。
 こうした背景にありながら、今年になって400店を超える店舗展開を達成し、自ら大きな改革に乗り出しているのが株式会社ダイナムだ。パチンコ業界に逆風が吹く状況にありながら、業界トップの店舗数を更新し続ける同社の方針には独自の理念が見られる。「当社はパチンコを地域のインフラにしたいというビジョンを掲げています。スーパーやコンビニのように地域に根差した、なくてはならない存在を目指しています。そのため、いわゆる1円パチンコと呼ばれる低貸玉営業を業界に先駆けて推進し、低貸玉の設置台数はパチンコで約70%、パチスロで約55%まで増えています。指定の喫煙エリアを除いて全面禁煙の店舗展
開も進めており、パチンコを誰もが気軽に楽しめる日常の娯楽へと変革するのが当社の使命だと考えています」(佐藤氏)
 店舗運営のコストを抑えるために、チェーンストアの経営手法も採り入れている。「衣料品や家具など全国展開する専門店チェーンのようにパチンコも薄利多売が可能なのです。例えば、店舗を木の温もりを活かした木造にすることにより、材料が安価で工期が短くできるため、建築コストを下げられます。また、プライベートブランドのパチンコ台もこれまでに50種以上導入してコストを抑えています」(佐藤氏)

福祉向けパチンコ体験会の開催や
災害時の復興支援も積極的に

 同社は地域と協創し、社会に大きく貢献する企業を目指した活動を積極的に実施している。その一例が福祉向けパチンコ体験会の開催だ。同社のスタッフが介護施設を訪れて、遊技機メーカーが福祉トレーニング向けに開発した専用のパチンコ機を使用したリハビリとレクリエーションの機会を提供する活動だ。「大当たりになると施設利用者の方々から歓声や拍手が起こり、笑顔があふれるひとときを楽しんでいただきました。今後も地域社会に貢献する取り組みを継続していきたいと考えています」(佐藤氏)
 また、来店客の協力を得て、災害時の義援金や寄付金を届ける活動も行っており、東日本大震災の復興支援も継続している。
「東日本大震災では、震災後早い段階で現地を回りました。当社の被害も甚大で、店舗だけでなく、自らの生活も維持できない従業員もいました。そこで全社を挙げて早期の営業再開を図りました。阪神淡路大震災で『今のつらいことを一瞬でも忘れられる』『店の明かりに勇気づけられた』という反応をいただいていたからです。『営業を自粛しろ』とバッシングの声も大きかったのですが、営業再開すると『寂しかったから、人が集まる場所があって安心する』など、好意的なお言葉を多数いただきました」(佐藤氏)
 同時に店舗の景品を被災地へ送ったり、避難中の野菜不足を考えて野菜ジュースを配布するなどの支援活動も行ったという。

自身の未来を探る「人生大学」など
年間300回超の社内研修プログラム

 同社のビジョン推進を支え、業界を巻き込んだパチンコの変革を図るためのポイントとして重視しているのが優れた若い人材だ。「パチンコ業界のイメージを変え、よりお客様に満足していただくためには、若い人の力が必要です。当社は毎年百人規模の新卒採用を実施し、その人材育成に力を入れています」(佐藤氏)
 社内研修プログラムは年間300回を超えるという。「なかでも、当社を象徴するのが『人生大学』です。ホールで働く従業員は主に2交代制で日々忙しく、自身のスキルアップを図る時間がありません。そこで、入社して2年目以降の全社員を対象に、人生を見つめ直す機会を設けました。役職・年齢に関係なく全国から約40人が集まり、読書やグループディスカッションなどによって心の内面に気づき、5年後、10年後の自身を探ったり、深い洞察力を養う3泊4日のプログラムです」(佐藤氏)
 このほかにも新卒者対象の教育や役職ごとに必要な業務知識や技術の研修、新店オープン時の研修など、きめ細やかな研修制度により、個人の実践力が着実にステップアップできるプログラムを設けている。こうして育成した優れた人材により、同社はさらなる成長や、業界の変革を力強く推し進めていく考えだ。

※「賢者の選択」より転載

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