- 「届ける」というソリューション。
- 株式会社矢動丸プロジェクト
トドクル担当 西川 淳
15年で経営者1000人以上が出演してきたテレビ番組がある。
これまでの出演者は、楽天の三木谷社長やエイチ・アイ・エスの澤田会長などそうそうたる顔ぶれだ。制作しているのはいわゆる番組制作会社ではない。とある広告代理店だ。かの有名な電通でも博報堂でもない。
その名は矢動丸プロジェクト。創業から35年が経つこの会社は、社是である「まぁやってみ」の精神のもと、広告代理店の枠を越えて自社でオリジナル番組やコンテンツを立ち上げるなど、クライアントのニーズに沿ったソリューションを提供している。特に冒頭のテレビ番組は、15年続いている信頼感と著名な経営者が多数出演している安心感で、引き合いが絶えないようだ。
「このテレビ番組では経営者と直接お会いして、喫緊の課題や未来の展望などもお聴きします。通常の広告制作以上に、その企業に深く入り込むんですね。その中で、企業が本当に求めていることは何なのか?を知る機会が多くあったんです」
出演した経営者からは番組放送後、企業理念や今後の展望を浸透させることができ、社内の意思統一や採用活動にも役立ったという嬉しい声がよく舞い込むという。そんな中、営業として長年活動してきた西川淳にあるひとつの疑問が浮かび上がってきた。
「テレビの媒体力は今でも非常に強く影響力は大きい。その価値は多くの企業に感じていただけています。ただ、今の時代、テレビでは届かない人がいるのも確かです。企業が本当に情報を届けたい相手が、テレビを見る習慣のない人だということも十分にありえます」
これまで営業として多くの企業や経営者と話をしてきた西川は、「なかなかうまくメッセージを伝えきれない…」というクライアント企業のもどかしさを誰よりも実感していた。それも商品やサービスだけではない。事業内容がうまく伝えられないという課題、採用をしたいが学生にうまく魅力が伝わらないという課題など、多岐にわたっていた。そんなもやもやの中にいた西川は、背中を力強く押されるある言葉と出会うことになる。
懇意にしていた経営者が西川にある時こう語ったという。「いい商品をいくら作っても、誰も知らなくては作る意味さえなくなってしまう」。それを聞いて以来、この言葉がずっと西川の心に残っていた。
「どんな企業もいい商品・サービスを作るために必死に努力し、時間をかけています。しかし、それが人に伝わらなければ何もならない。それってとてもさみしいことだし、何より怖いことだと思いました」
そのような状況を作らないためにも、「届ける」ことにとことんこだわったメディアが必要なのではないか。そう考えた西川は、事業として新しい柱を作っていきたいという会社のタイミングともうまく重なり、一からサービスを立ち上げることを決めた。ひとつのサービスを伝えるにも手段は決してひとつではなく、様々な手法をかけあわせることでその効果は一層高まる。「特性の違った媒体を組み合わせることで、伝えたいメッセージを、伝えたいターゲットに確実に届けられるサービスを作ろう」。
そして誕生したのが、まったく新しいポータルメディア『トドクル』である。サービス名には“想いが届く”という意味と、それによって“人がくる・動く”という意味が込められた。「伝わらない」「届かない」そして「動かない」という課題を解決することが、トドクルに与えられた究極の使命だ。
トドクル最大の特徴は、ひとつの手段ではなく、動画、ブックレット、ウェブという特性の異なる3つの媒体を使ってターゲットに届けるという点だ。
「ブックレットに掲載する記事や写真は、情報を正確に伝えることができますし、直接手渡しできる強みがあります。しかし、感情や熱量といったものまでは伝わりにくい。そこに動画があれば、想いや雰囲気、世界観も一緒に伝えられるので、理屈ではないところで共感を生み出すことができます。さらにウェブコンテンツがあると、同時多発的にアクセスが可能なため、常に新しい情報を拡散できるのです。このようにトドクルは伝えたい人に沿った形で、媒体の特性をかけ合わせることで相乗効果を出しながら、ターゲットとなる相手に確実に“届ける”サービスなんです」
近年になって、企業や商品を紹介するウェブメディアは増えてきている。そんな中でトドクルは、動画とテキストどちらも活用している点が大きな違いである。中には動画とテキストどちらも使っているメディアも存在するが、大抵はインタビュー動画をテキストに起こした流用の形だ。それに対してトドクルは、それぞれの特性を最大限活かすために、動画は動画用の構成、テキストはテキスト用のインタビュー構成と、別々で制作が進む。動画、ブックレット、ウェブがそれぞれ補完しあうというよりも、単独でも強力なコンテンツとして成立しているため、場面に応じて活用できる仕様になっている。
さらに、今は動画、ブックレット、ウェブコンテンツの3媒体だが、「“届ける”ことを主眼にしている以上、他のアプローチを増やすこともあり得る」と西川は語る。ただ、トドクルの強みはそれだけではないようだ。媒体の組み合わせだけなら、他社でももしかすると可能なのかもしれない。しかし、“届ける”ためのメディアを、矢動丸プロジェクトだからこそ立ち上げられた理由があるという。
「矢動丸プロジェクトでは、経営者出演のテレビ番組を15年間制作してきました。それも、ほぼ休むことなく毎週です。きっと日本中探しても、毎週これだけ濃密な企業取材番組を作り続けている会社はないと思います。だから、“より伝わるためにはこんな構成がいいのではないか?“といった感覚を、私をはじめとした営業含めスタッフみんなが持っているんです」
テレビ番組は、通常いくつかの制作会社で回ごとに担当を分けることが多い。そこをすべて同じ体制で15年間、毎週取材してきたことが、“ターゲットの心に確実に届ける”という他社にはできない強力なコンテンツ制作力に繋がっているのだろう。
そんなトドクルだが、今後どのような企業の参加を想定しているのだろうか。
「トドクルは企業・商品・サービスなどの魅力を“届ける”サービスです。なぜ商品が売れないんだろう?なぜ企業への理解が低いんだろう?なぜいい人材が確保できないんだろう?…そういった課題を抱える企業には、ぜひトドクルを利用してほしい」と西川は語る。
遠隔地にいる人や、営業先に事前情報としてウェブコンテンツを送ることもできれば、会社説明会で動画を使って学生の心に届けることもできる。展示会やイベントでブックレットを配布すれば、他社のパンフレットと差別化することも可能だ。また第三者による取材は、自社では思いもよらなかったストロングポイントが見つかることも多く、新しい商品やサービスができたタイミングであれば、その強みを再確認することにもつながる。そして、トドクルは単なる複合メディアにとどまらないと西川は語気を強める。
「トドクルは、情報を集約できる“プラットフォーム”として使えることがとても大きいと思っています。例えば、ある商品で様々な媒体を使って情報を発信しても、リアルタイムに興味を持っている人には届くかもしれませんが、潜在的なターゲットにはタイミングが合わず、情報が届かないことがありうるんです。でも、トドクルであれば、自社のホームページを更新するような煩わしさなしに、常に最新情報を発信することができます」
活用方法はその企業次第で無限に広がりそうなトドクルだが、実際の取材は基本的には2~3時間ほどで完了するという。事前の資料提供など必要な作業はあるが、企業の担当としても手間があまりかからない助かる仕組みとなっている。
「取材にはライター、カメラマンとお伺いさせていただき、目的に応じて、過去の話から今後の展開など未来に関することまで、丁寧に余すことなくヒアリングさせていただきます。インタビューが終わったら、次は動画収録です。動画は、テキストでは伝わらない雰囲気や人となりを伝えるため、インタビューやお仕事の様子など数カットを撮影していきます。トータルの取材・撮影時間は2時間~3時間程度です」
最後に、トドクルをスタートさせるにあたっての抱負を、西川氏に語ってもらった。
「“届ける”ことの重要性をお伝えしてきましたが、トドクルには別の役割もあると思っています。それは客観的な目線で取材を行うということです。社内だけで考えるのではなく、第三者が取材することで、新たな発見が必ず見つかります。私はそのことを、15年続く番組制作に携わることで実感しました。新しい発見があると、社内でできることも変わります。それによって人も変わります。ささいな発見がきっかけで会社が変わってしまうことだってあります。そんな企業の変化や気づきに立ち会えることを楽しみにしています」
企業にとってのゴールは決して“届ける”ことではない。売り上げのアップなのか、商品理解の促進なのか、人材の採用なのか、それは企業によってさまざまだ。その「届けた」先にどういった変化が起こるのか、トドクルなら感じられるに違いない。西川にはトドクルを企画した際に掲げたビジョンがある。
「“届くこと”があたりまえの世の中にしていきたい」
そうすれば、生活者は正しい情報をもとに企業や商品を選ぶことができる。
そして企業も届けることに力を分散させずに、事業に集中することができる。トドクルならそれが可能であると西川は確信している。